こんにちは!『ヘレディタリー 継承』『ミッドサマー』のアリ・アスター監督がプロデュース、ニコラス・ケイジが主演するA24の新作映画「ドリーム・シナリオ(原題)」が、2023年11月10日から全米公開されますが・・・めちゃくちゃおもしろそう!日本公開されたら是非観たい!
そこで改めて、アリ・アスター作品映画『ミッドサマー』を紹介したいと思います!
観る前はどれだけ怖い映画なんだ、とビクビクしながら観たのですが・・・
アレ、怖いだけじゃない!観終えると妙にハマってしまい、3回くらいは観返してしまいました。
明るい日の光の中で起きる惨劇!不思議な魅力のドラッグホラーです!
概要
映画『ミッドサマー』は、2019年に公開されたアメリカ・スウェーデン合作のサイコロジカルホラー映画である。監督は『ヘレディタリー/継承』で高い評価を得たアリ・アスター。主演は『ブラック・ウィドウ』のフローレンス・ピューと『トランスフォーマー/ロストエイジ』のジャック・レイナー。日本では2020年2月21日に劇場公開されました。
あらすじ
ある日突然、最愛の家族を失ってしまったアメリカ人女子学生ダニー。心配した恋人は、男友達だけで行くはずだったスウェーデン旅行に彼女も誘う。彼らが向かったのは、同国の奥地で90年に1度開かれるという特別な夏至祭。白い衣装に身を包んだ村人たちに笑顔で迎えられた一行は、9日間にわたって行われる神秘の祝祭を彼らと一緒に体験することになる。
キャスト
- ダニー:フローレンス・ピュー
- クリスチャン:ジャック・レイナー
- ジョシュ:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
- マーク:ウィル・ポールター
- ペレ:ウィルヘルム・ブロングレン
- サイモン:アーチー・マデクウィ
- コニー:エローラ・トルキア
みどころ考察
ミッドサマーは謎の深さと完成度の高さでいろんな方が考察をされていますが、
私も自分なりに気になった点や考察などをしてみたいと思います。
大きな音で急に脅かす系の仕掛けは少ないタイプなので、そういうのが苦手な方にもおすすめできる映画です。
(ただし、残酷なシーンはちゃんとありますので、ご注意ください!)
まず・・・
1. 90年の一回の夏至祭、本当はもっと頻繁にやってない?
- 90年に一度ということは、村人全員未体験の祭りを行っている事になるが、村人が手馴れ過ぎてない?
- 伝承・座学で習っていたとして、そんなにスムーズにつ遂行できなくない?(飛び降り失敗したおじいの顔をあんなに平然とデカハンマーで潰せる?)
つまり、最初から生贄を捧げるため、また外部からの精子で子孫繁栄するために、割と頻繁にやってそうだなと思いました。
2. アッテストゥパで崖から飛び降りたおじいちゃんは、『ベニスに死す』の超絶美少年ビョルン・アンドレセンだった!
『ミッドサマー』で見た人に衝撃を残したおじいちゃんの役者が『ベニスに死す』で超絶美少年だったビョルン・アンドレセンと聞いてたまげた。確かに面影がある pic.twitter.com/xIFy2pOCHu
— もつれら (@mtmtsf) February 21, 2020
世界で一番美しい少年だった、ビョルン・アンドレセンの顔をドデカハンマーでドーン!!美しいものも躊躇なく壊す、という事でしょうか。
すごい風刺が効いてますね。
※ビョルン・アンドレセンは『世界で一番美しい少年』という半生のドキュメンタリー映画があるので、こちらも観てみたい。[ベニスに死す]のヴィスコンティ監督や実の祖母らから、生活費や支援と引き換えに性的搾取・・・さらに薬を飲ませながら働かせられたり・・・大変な人生だったようです。
3. 全編通してドラッグをやってるような酩酊感がある
『ミッドサマー』で我々日本人が見落としやすいのは「ドラッグ&サイケデリック映画」という点です。ダニのマジックマッシュルームで作中初トリップがバッドトリップになるキッカケは"family”という言葉であり、作品のテーマとも繋がっています。トリップ要素や描写も気合い入ってますから是非注目を。 pic.twitter.com/tS9Ah8vo7D
— ドラゴン士 (@eigarunner) February 7, 2021
村に到着直後からマジックマッシュルームでトリップするのですが、手に草が生えたり、後ろの木がありえないような動きをしていたりします。
他にも、ダニーの頭にかぶらされた花たちが呼吸してるように動いていたり、薬が効いてる状態を表している表現があります。
それが過剰な演出ではなく、あれ、今の目の錯覚かな?と思うくらいさりげなさで行われているので、観ているこちらが妙な落ち着かないふわふわした状態になります。
監督いわく、ドラッグが効きはじめて、それが切れるまでを映画で表現するのが難しかった(こだわった)との事でしたが、その丁寧な演出が映画の完成度を引き上げていると思います。
私が今まで観た中で強烈なアシッド映画はニコラス・ウィンディング・レフン監督の『オンリー・ゴッド』。とんでもないバッドトリップ映画でした。
4. サイモンが受けた罰は、血のワシ※という儀式的な処刑法だそう
blood eagle〔中世に行われていた儀式的な処刑方法 。 生きたまま背中を切り裂いて胸郭を開け、肺臓を引きずり出してワシの羽のよう広げるというもの。〕
背面に抜き出された肺が呼吸をするように動いていたのはアシッド表現かと思ったのですが、この状態でまだサイモンは生きていた、という事なんですね。
この銃を構えた男の子、「ミッドサマー」で血の鷲にされちゃったサイモン役の人だそうです。結構、背が高いんですよ。「ヴォイジャー」のキャストの中では一番タッパがあるんじゃないかと🤔 https://t.co/UuzFrbol0j pic.twitter.com/88HBwbUWIx
— Lovelife🥰 (@mylovelife0617) March 27, 2022
5. カラーリングの対比
映画の冒頭、ダニーの妹が両親を道連れに自殺するという衝撃的なシーンから始まり、
ダニーの心理状態や家族関係を暗示するとともに、後の展開における死や自殺のテーマを予告しています。
妹が送ったメールに「everything’s black」と書かれていることや、自殺現場が暗闇に包まれていることは、ダニーが抱える闇や絶望を象徴している。
一方、この後訪れるホルガ村は白夜のため、常に景色は明るく美しいが、起きる残酷な描写とのギャップがすごい!
白夜は、コミューンの住人たちが明るく陽気な雰囲気を作り出す要因であると同時に、ダニーやクリスチャンたちが眠りや休息を得られないことで精神的な不安定さを増幅させる要因でもあります。
また、白夜はコミューンの秘密や暴力を隠すことができないことを意味し、ダニーやクリスチャンたちが目撃する恐怖シーンをより生々しく感じさせる効果もあります。
6. 身勝手代表みたいな、クズ男クリスチャン
夏至が近いので『ミッドサマー』を見たんですが、クリスチャン、この時点で飲み物の色が違うのに気付けよ…と思ったんですけど、これ、クリスチャンみたいな男性には「飲み物に何か入ってるかも」とかいう発想が無いってのがポイントなのかな。 pic.twitter.com/eO4aDFypn4
— saebou (@Cristoforou) June 20, 2021
考察でもなんでもないんですが・・・
ダニーの彼氏が、あまりにも身勝手で幼稚で言い訳がましいクズ男だったので観ていて腹が立ちましたね笑
世間一般的な身勝手な男代表みたいな奴で、最後ああなるのも清々しい気持ちで観られました。
ダニーは最初は恐怖や悲しみに顔を歪めますが、次第に笑顔に。このシーンは、ダニーがクリスチャンとの関係に終止符を打ち、コミューンの一員として新たな人生を始めることを示しています。頭に飾られた花は動いていないので正気という事。
火は浄化や再生の象徴であり、ダニーが過去のトラウマから解放されることも意味しているのでは、と思います。
実際に観た感想
映画『ミッドサマー』は、美しい映像と恐ろしい内容のギャップが強烈な印象を残す作品でした!監督のアリ・アスターは、前作『ヘレディタリー/継承』でも家族や死などのテーマを扱っており、今作でもそれらのテーマを深く掘り下げています。
率直にこの映画を観た感想は・・・
ずーっと、意味不明の理解できない状況を首を固定して大音響&高解像度で見させられている、という感じでした。
理解できない事は、恐ろしく感じるものですからね。
そう、観てる最中はもちろん怖いんです。
でも、観終わった後は妙な清々しさが。
心が晴れやかになっている自分もいて、それが数日じんわりと続く感覚があり、不思議な体験となりました。
理解できないモヤモヤした気持ち悪さと、浄化されたような心地よさが共存しており、後者がやや勝っている感じ。
特に主人公のダニーの心理描写は見事で、彼女の苦悩や成長が感情移入できるように描かれています。
コミューンの住人たちの文化や信仰も興味深く見ることができたが、同時にその異質さや恐怖さも感じます。
映画では、コミューンの住人たちが幻覚作用のある薬草やキノコを摂取するシーンが何度もあるが、それによって映像や音響も歪んだり変化したりすることで観客にも幻覚体験をさせる効果があった。映画全体に漂う不穏な空気や緊張感も見事であり、最後まで目が離せない作品でした。
ご注意ください
この映画には、暴力的なシーンや性的なシーンも含まれています。そのため、観る人によっては不快感や恐怖感を感じる可能性もあります。
同じ感覚をもった親しい友人と観るか、一人で観る事をおすすめしたい映画です!
付き合いたての恋人と観るようなデートムービーではないのでご注意くださいね。