今日は、ニコラス・ケイジ主演の映画『ピッグ』のレビュー記事をお届けします。
この映画は、トリュフ狩りをする忠実なブタと暮らす男が、ブタを何者かに盗まれてしまい、奪還するために街へと降りるという物語です。
ニコラス・ケイジが見せる渋い演技と、食と音楽を通じて描かれる人間ドラマが見どころです。では、詳しく見ていきましょう。
あらすじ
オレゴンの山奥で、孤独な男ロブ(ニコラス・ケイジ)はトリュフ狩りをする忠実なブタと住んでいた。ロブはトリュフバイヤーのアミール(アレックス・ウルフ)と希少で高価なトリュフを売買し、わずかな物資で生活していたが、ある日大切なブタが何者かによって強奪されてしまう。
ロブはブタを奪還するためにポートランドの街まで下り、アミールと手がかりを捜す。
ロブはブタの行方を辿る中、故郷でもあるポートランドで自身の過去や人間関係に直面していくことになる。
キャスト
- ロビン・“ロブ”・フェルド:ニコラス・ケイジ
- アミール:アレックス・ウルフ
- ダリウス:アダム・アーキン
- シャーロット:ニーナ・ベルフォーテ
- マック:グレッチェン・コーベット
- デレク・フィンウェイ:デヴィッド・ネル
- ドナ:ベス・ハーパー
- エドガー:ダリウス・ピアース
- ローレライ・“ローリー”・フェルド:カサンドラ・ヴァイオレット
実際に観た感想
この映画は、ニコラス・ケイジが主演するということで、派手なアクションやサスペンスを期待する人もいるかもしれませんが、そういう映画ではありません。
キャッチコピーに『豚を奪われた男のリベンジスリラー』とあったので、どれだけ復讐するんだ?と期待してみたら・・・全然違うやん!
ニコラス・ケイジ主演で美味しんぼのロードムービー撮ったんか?
でも、全然良かった。地味深い、ニコラス・ケイジの演技力が本当にすごい。
観終わってからの余韻も深く、エンドロールの雰囲気もとても良い映画でした。
この映画は、静かで淡々とした調子で物語が進みます。
暗い森の中、豚の鳴き声と森の音。ロブの落ち着いて寡黙な声。
しかし、その静けさの中には、ロブの心の動きや彼が持つ深い愛情がしっかりと描かれています。
ニコラス・ケイジは最近は低予算のB級映画に多く出演していますが、本作でも彼の演技力を存分に発揮しています!
ロブは寡黙な男ですが、彼の表情や仕草からは彼の感情が伝わってくる。
ここがニコラス兄貴の演技力なんだよな~。すごい。
特に、彼が過去に有名なシェフだったことが明らかになるシーンでは、彼の表情や声のトーンが見事に変化します。彼は自分の過去や現在に対する複雑な感情を表現しています。
ロブは有名な元シェフであり、食べ物を通じて人とコミュニケーションを取り、思い出を呼び起こします。
彼の言葉は、嘘がなく、鋭く本質を突いている。
レストランで「本物」を語るシーンには息を呑みました。
ただ・・・このあたりで
あれ、この映画って美味しんぼだったっけ?
海原雄山みたいなのも出てきたー笑
という感想が頭をちらつきます笑
いやぁ、この映画をカテゴリ分けするの、難しい・・・。いい意味で不思議な映画。
彼は自分の過去に向き合い、自分の生き方を再確認します。
音楽もロブの心情や物語の雰囲気を表現しています。
この映画は、ブタを奪還するというシンプルなプロットにもかかわらず、人間の心の深さや複雑さを描いています。
ロブはブタを愛していますが、それは単なるペットとしてではなく、彼の人生の一部として。
彼はブタを失うことで自分自身を見失いかけますが、同時に自分自身を見つめ直すきっかけにもなります。
人生で大切なものはそう多くない。
映画を観終わる頃には、自然とそう思えました。
この映画は、人間が持つ愛情や感情、人生において何が大切かと考えさせてくれる、味わい深い作品だと思います。
最後はエピローグと同じ森の中の暗さと音で締めくくられ、余韻が後を引きます。
秋の夜長にぴったりのオススメ映画です!